こんにちは、AYUです。「AYUのハハッと矯正日記」をご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、育休中にインビザラインで歯列矯正を始めた記録をありのままに綴っています。
今回は、歯列矯正とは関係のない、趣味の読書のおはなしです。
この記事では、 川口俊和さんの『コーヒーが冷めないうちに』シリーズ最新刊の、『さよならも言えないうちに』について紹介します。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
『コーヒーが冷めないうちに』シリーズとは
もともとは演劇の作品
『コーヒーが冷めないうちに』は、もともとは脚本家川口俊和さんによる舞台作品です。たまたま舞台を観に行った編集者があまりにも感動したため、その場で声をかけたことがきっかけで小説化されたそうです。
川口俊和さんは、大阪府茨木市出身で、1971年生まれ。元・劇団音速かたつむりの脚本家兼演出家です。舞台・1110プロヂュース公演「コーヒーが冷めないうちに」は、第10回杉並演劇祭大賞を受賞しています。
2017年本屋大賞10位受賞!映画化も
『コーヒーが冷めないうちに』は、 2017年本屋大賞にノミネートされ、ベストセラー小説となりました。
本屋大賞とは、書店員による投票によってのみ選ばれる文学賞で、2004年に始まりました。上位10作品がノミネート作品として発表されます。本好きによって選ばれた本は間違いなく面白く、読書初心者にもおすすめです。(私は、読みたい本は本屋大賞受賞作から探すほどです。)
2018年には、有村架純さん主演で映画化もされています。
設定がおもしろい!過去に戻れる喫茶店
とある街の、とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座ると、その席に座っている間だけ
望んだ通りの時間に移動できるというただし、そこにはめんどくさい……
川口俊和著『コーヒーが冷めいないうちに』プロローグより
非常にめんどくさいルールがあった
作品タイトルにもある通り、コーヒーが冷めてしまうまでの間だけ過去に戻れるという不思議な席のある喫茶店が舞台のおはなしです。
『コーヒーが冷めないうちに』には、恋人、夫婦、姉妹、親子がテーマの、4話の物語が収録されています。それぞれの話は独立したものとしても楽しめますが、様々な伏線があり、話に出てくる登場人物が別の話でも出てきたり、謎がどんどん解き明かされたりして、全て繋がっていきます。
続編として、『この嘘がばれないうちに』『思い出が消えないうちに』が、そして2021年9月、3年ぶりに『さよならも言えないうちに』が発行されました。
喫茶店「フニクリフニクラ」を舞台に4話の物語が展開されすべてが繋がっていくスタイルは、続編にも踏襲されています。前作の登場人物が再登場したり、人物によってはレギュラー出演していったりするので、作品が進むにつれ、おもしろみも増していきます。
レトロ喫茶店と「4回泣けます」のキャッチコピーに惹かれ
そもそも私が『コーヒーが冷めないうちに』シリーズを読み始めたのは、本屋大賞ノミネート作品として売り出されていたのがきっかけです。
本屋大賞ノミネート作品の中でも、レトロ喫茶店風なイラストの表紙が可愛く魅力的で、ほぼ「ジャケ買い」でした。カフェ好きの私にとっては、カフェや喫茶店がテーマとなり舞台になっている小説も大好きだったのです。
さらに、「4回泣けます」というキャッチコピーに惹かれました。そして、心温まる感動のストーリーと独特の世界観の虜になり、作品のファンになってしまったのです。続編も出るたびに購入して読みました。
今回も4回泣けます!『さよならも言えないうちに』のレビュー【ネタバレあり】
収録話
第一話 大事なことを伝えていなかった夫の話
第二話 愛犬にさよならが言えなかった女の話
第三話 プロポーズの返事ができなかった女の話
第四話 父を追い返してしまった娘の話
第一話は、今まで家庭を顧みずに好きなように生きてきた考古学者で冒険家の夫が、妻が植物状態になって初めて後悔した話です。
第二話は、子どもができなかった夫婦が大切にしていた愛犬が老衰で天国へ旅立ち、最後の時を見届けることができなかったと後悔した女性の話です。
第三話は、結婚に踏み切れずプロポーズの返事を先延ばしにしていたところ彼に突然の別れを告げられ、そのまま彼と死別してしまった女性の話です。
第四話は、父子家庭の娘が親の干渉が嫌で東京の大学に進学したが、父が会いに来た時に追い返してしまった数日後に震災で父親を亡くしてしまった話です。
喫茶店の例のめんどくさいルールにより、過去に戻っても現実は変わることはありません。しかし、過去に戻って会った相手の記憶は改ざんされたり消去されたりしない、つまり、記憶は残り、『聞かなかったことにはならない』という裏ルール(?)が明らかになりました。
感想
書店で帯を見たときから、もうこれは泣ける話だろうと分かっていました。タイトルからしてもそうなのですが、「さよなら」を言えずに別れてしまった人=「死別」した人(例外もありましたが)です。そのような人(ペット)たちに、過去に戻って会いに行く話です。
私は、第二話と第三話が好きです。
第二話は、収録4話の中で1番泣けました。ペットとか飼っていないのですが・・・感情移入しやすかったのでしょうか。旦那さんの優しいキャラクターも良い味を出しています。
第三話は、悲しいけれど、ハッピーエンドです。謎解きゲーム(リアル脱出ゲーム的なものと思われます)好きな彼が全てをお見通しで計算ずくなのが、さすが~!叶わないな~(まさか、ここまでとはな…←コナンネタ)と思いました。
「死」というテーマは重く暗く難しく、しかし誰しもに必ず訪れるものです。いつかは向き合わないといけないときがきます。それが、いつなのかは誰にもわかりません。
「最後」があるとわかっていたのに、なぜそれがあの日だと思えなかったんだろうー。
川口俊和著『さよならも言えないうちに』
この言葉を、しっかりと胸に刻んでおこうと思います。
泣けるポイントや感性は人それぞれだと思いますが、私は「4回泣け」ました。ただ「死」が悲しいから泣けるのではありません。人の感情に訴えかける、心の琴線に触れるような、悲しくも温かい、優しい気持ちになれる感動の涙です。
いつか来る「最後」を後悔しないために
いつか来る「最後」がいつ訪れるかは分かりません。だからこそ、今を、その時その時を後悔しないように、大切に生きようと思いました。常套句のようですが、本当にそう思える、大切な人との「最後」を改めて考えるきっかけになる1冊です。
家族、恋人、ペット。親友、恩師、憧れの人。
大事な人がいる人に、ぜひ読んでいただきたい作品です。